研究課題/領域番号 |
13470513
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
玉井 郁己 東京理科大学, 薬学部, 教授 (20155237)
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研究分担者 |
崔 吉道 金沢大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (40262589)
辻 彰 金沢大学, 薬学部, 教授 (10019664)
芳賀 信 東京理科大学, 薬学部, 助教授 (70110666)
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キーワード | トランスポーター / 基質選択性 / 有機アニオン / 有機カチオン / カルニチン / OATP / OCTN / 肝臓 |
研究概要 |
本年度では、生理的物質ならびに薬物など生体異物の細胞膜透過に働くトランスポーターの中で、有機アニオントランスポーターに分類されるOATPならびに有機カチオントランスポーターに分類されるOCTNに関する検討を行った。 OATPは多くのアイソフォームから形成されるが、その中でヒト肝臓選択的に発現するOATP-Cの基質選択性に関する検討を行った。OATP-Cは、内因性基質としてステロイドホルモン代謝物、ビリルビン、胆汁酸塩、サイロイドホルモン、プロスタグランジンなど多様な化合物輸送に働く一方で、生体異物輸送に働く。薬物動態的には一部のペプチド性化合物が胆汁中によく排泄され、それが有機アニオン性化合物との共通性の存在が知られている。そこでペプチド性化合物を中心に基質選択性に関する検討を行った結果、オピオイド活性を有するペンタペプチド輸送活性を有すること、ならびにテトラペプチドあるいはトリペプチドに対する親和性は低い傾向が観測された。従って、OATOP-Cは、基質の荷電状態にもならず、分子サイズも影響因子となり、ペプチドの中には有機アニオントランスポーターを介することにより肝指向性が高まることが示された。 一方、有機カチオン・カルニチントランスポーターであるOCTN2については、アミノ酸置換効果、相互阻害効果、ナトリウム効果などから、両性イオン型のカルニチンとテトラエチルアンモニウムのような4級カチオンは一部基質認識部位がオーバーラップするが、ナトリウムイオン要求性の相違などとも関連し、両体タイプの化合物認識は異なることが示された。 このように多様なトランスポーターの基質多選択性multispecificityは、トランスポーター上の活性部位が非常に幅広いもの、ならびに活性部位が複数存在するものがあり、多彩な化合物の認識メカニズムを複数存在することが明らかになった。
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