研究課題/領域番号 |
13470514
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高倉 喜信 京都大学, 薬学研究科, 教授 (30171432)
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研究分担者 |
山岡 清 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (50109013)
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キーワード | DNAワクチン / プラスミドDNA / 樹状細胞 / マクロファージ / カチオン性高分子 / 局所投与 / 抗体産生 |
研究概要 |
抗原タンパク質をコードするプラスミドDNA(pDNA)を筋肉や皮膚などの局所へ投写するDNAワクチンの試みは、体液性免疫のみならず細胞性免疫をも誘導できることから、細菌やウイルス感染症、がん、免疫疾患等さまざまな疾病への応用が期待されている。免疫応答の誘導過程において樹状細胞やマクロファージなどの抗原提示細胞(APC)が極めて重要な役割を果たしており、DNAワクチン効果の最適化には局所投与時のpDNAの体内動態、遺伝子発現を制御することが重要であると考えられる。そこで本研究では、まずpDNAのキャリアーとしてカチオン性高分子であるメチル化ウシ血清アルブミン(mBSA)を選択し、種々の電荷比で複合体を形成させた。皮内投与後の抗原特異的な免疫応答についてモデル抗原として卵白アルブミン(OVA)の遺伝子をコードしたpCMV-OVAを用い単独投与時と比較検討した。pCMV-OVA単独またはmBSA/pCMV-OVA複合体をマウスに2週間おきに皮内投与し、血清中の抗体価を測定したところ、mBSA/pCMV-OVA複合体投与でpCMV-OVA単独投与時に比べ高い総IgG抗体産生量が認められ、特にIgG1抗体の産生量の上昇が見られた。さらに単回投与時においても単独投与では見られなかったIgG抗体産生が誘導された。このことより複合体化することにより、効率良く抗体産生が誘導され、pDNAの投与量をより少量にすることが可能であることが示された。また、脾臓細胞を用いた検討では、より高いサイトカイン産生およびT細胞増殖活性が複合体投与時に認められた。以上より、複合体化することで、特にTh2型の免疫応答を増強させることができ、カチオン性高分子キャリアーを用いてpDNAの局所動態をコントロールする手法は、DNAワクチンの効果を制御する有効な手段となる可能性が示された。
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