研究課題/領域番号 |
13470515
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
真弓 忠範 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (00098485)
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研究分担者 |
堤 康央 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (50263306)
中川 晋作 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (70207728)
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キーワード | 細胞内徐放 / ナノパーティクル / 膜融合リポソーム / DDS / 細胞内導入 / 共焦点レーザー顕微鏡 / FACS |
研究概要 |
本研究では、細胞内での薬物動態を時間的・空間的に制御出来る次世代型DDS製剤としての細胞内徐放化システムを開発することを目的としている。本年度は、徐放化ナノパーティクルを細胞質内へ導入するための膜融合リポソームの有用性を評価した。今回モデルとして粒子径500nmの蛍光標識ナノパーティクルを封入した膜融合リポソームをLLCMK2細胞に反応させた後、細胞内に導入されたナノパーティクルを共焦点レーザー顕微鏡により確認した。その結果、膜融合リポソームを作用させた細胞群において、ナノパーティクル由来の粒子状の緑色蛍光が、核が染色されたのと同一断面上で数多く観察された。一方、ナノパーティクル単独や膜融合能を持たない通常のリポソームを作用させた細胞群においては、ナノパーティクルの取り込みはほとんど確認されなかった。さらに細胞内へのナノパーティクルの導入量をFACS法により解析した結果、膜融合リポソーム作用群では、作用させた10^5個の細胞のうち94%の細胞でナノパーティクルの導入が認められた。導入されているナノパーティクルの平均は1細胞あたり約10個であった。さらに、26個以上導入されている細胞群も約5%以上存在した。一方、ナノパーティクル単独作用群ではナノパーティクルの取り込みはほとんど検出されず、リポソーム作用群でも若干の取り込みが確認されたにすぎなかった。また、膜融合リポソームと細胞との作用時間について検討した結果、膜融合リポソームは、5分間という短い作用時間で87%の細胞にナノパーティクルを導入することが可能であった。一般的に5分間の作用において、エンドサイトーシス経路により粒子状物質が細胞に取り込まれることは殆どあり得ないため、膜融合リポソームは、細胞膜との融合により内封したナノパーティクルを細胞質内に直接導入していることが示唆された。今後は、本年度の知見を基に次世代型DDS製剤としての細胞内徐放化システムの開発を目指す。
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