研究概要 |
【細胞上の抗原量、抗原密度、細胞サイズ間の関係の解析】我々は、抗原量の指標であるFIを縦軸、細胞サイズを反映するとされるFSCを横軸方向に設定した二次元座標上に、FCMで測定された細胞毎のFI/FSCデータをプロットすることにより(FI/FSC表示)、その両者の関係をより詳細に検討可能であることを示してきた。昨年度来、我々はこの考えをさらに拡大するべく、細胞表面上の抗原の抗原密度(AD ; FI/FSC)とFSCすなわち細胞サイズとの関連に関する検討を行ってきた。これにより、例えば末梢血中のCD4陽性Tリンパ球において細胞あたりのCD4抗原量は細胞サイズに比例して増加し,CD4-ADは逆に細胞サイズの増大につれて低下するなど,抗原量と細胞サイズ,抗原密度間の関係をより詳細に検討可能であった。今年度はこの解析法の意義、臨床的有用性等の検討を行う目的で、CD4陽性Tリンパ球上のCD4抗原を中心として、従来得られた健常者をはじめ様々な臨床例についてのデータの解析を中心に行ったが、現在、解析作業を継続中である。 【FI/FSC解析結果の定量化の試み】上記FI/FSC表示において,FIおよびFSCの値を標準化することにより,アッセイ間,施設間でのデータに比較が容易になる。今回はこの点を解決する目的で,FIについてはBD社のQuanti-Brightを,FSCについては各種サイズ標準ビーズを用いた検討を行った。その結果,FIはほぼlinearの関係でABC (antigen binding capacity)値に変換可能であり,またFSCについても直径25μm以内の範囲で,FSC値を直径(μm)に変換可能であることが確認された。今後,複数施設間で実際にこの手法の有用性の検討を行う予定。
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