研究課題/領域番号 |
13470516
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中原 一彦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (70101095)
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研究分担者 |
渡邊 卓 杏林大学, 医学部, 教授 (00191768)
東 克巳 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50159109)
米山 彰子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 寄附講座教員(常勤形態) (50175684)
池田 忠子 杏林大学, 医学部, 講師 (90099242)
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キーワード | フローサイトメトリー / 細胞表面抗原 / 抗原密度 / FF係数 / 解析ソフト / リストモード / 急性白血病 / 伝染性単核球症 |
研究概要 |
フローサイトメトリー(FCM)を用いた細胞表面抗原の定量化の試みとして、抗原量の指標である蛍光強度(FI)を縦軸に、細胞サイズを反映する前方散乱光(FSC)を横軸に設定した二次元座標上に、得られた値をプロットすることにより検討を加えてきた。その結果、多くの抗原が直線を描くことが判明し、このことは細胞表面あたりの抗原密度が一定であることを示している。また直線の傾き(FF係数)の変化をみることで、蛍光強度の増加が単なる細胞サイズの増大を反映しているだけなのか、実際に抗原量が増加しているのかを判別することが可能なことも明らかとなった。さらに、FCMのリストモードを活用することにより、こうした解析をコンピュータ上で自動的に行えるソフトを開発した。 実際の臨床応用として、造血器腫瘍の一つである急性白血病のFF係数を解析した。急性白血病の診断分類は従来の形態学のみでは限界がみられ、免疫学的手法を取り入れた分類が必須の検査となっている。しかし、免疫学的分類を施行してもその分類には苦慮する場合がある。そこで白血病細胞上のCD33抗原発現についてFF係数の検討を行った。その結果、CD33抗原のFF係数は好中球系腫瘍細胞が成熟するに従い低値を示した。一方、単球系の腫瘍細胞は成熟度に比例しなかった。このことにより、FF係数を求めることで成熟傾向を伴う骨髄性白血病と紛らわしい単球系白血病の鑑別が比較的容易にできる可能性が示された。またCD34抗原について分析した結果、急性リンパ性白血病(ALL)は急性骨髄性白血病(AML)に比較してFF計数が高値であることを認めた。このことはALLにおいて、単位細胞あたりのCD34抗原密度がAMLより高いことを示している。またEBウイルス感染により発症する伝染性単核球症(IM)で著増する異形リンパ球において、CD8抗原量のFF係数を解析した。その結果、健常人と比較してFF係数が大きいことが判明した。このことはIMにおけるCD8抗原の細胞あたりの抗原密度が増大していることを示している。FF係数は病態の解析に、より一層迫ることになる。
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