研究概要 |
抗癌剤耐性に関連のある遺伝子として、ヒト骨肉腫細胞株より我々が単離した新規の癌抑制遺伝子RB1CC1(RB1-inducible Coiled-Coil 1; Human Gene Nomenclature Committee-approved gene symbol)は、ヒト各種組織における発現状態は不明で、その機能も全く知られていない遺伝子でした.しかしながら、その遺伝子cloning、構造解析、染色体mapping(Chano,et al.Gene 2002)に続き、我々が行ったヒト各種組織、悪性腫瘍における発現解析実験、及び、RB1CC1遺伝子導入による機能解析実験より、本遺伝子産物は転写因子として働き、癌抑制因子の一つであるRB1(retinoblastoma tumor suppressor gene 1)の発現を上昇させることが明らかとなりました(Chano,et al.Oncogene 2002). 今年度は、RB1CC1遺伝子の染色体局在部位8q11にLOH(loss of heterozygosity)が疑われる癌(乳癌、前立腺癌)については、本遺伝子がこれら癌腫の発がん機構に強く関わっている可能性が高かったため、これら癌腫の凍結保存組織よりRNA,DNAを採取し、その遺伝子構造の変異解析を行いました.この結果は現在学術雑誌に投稿中です.また、これまでの研究成果を基にRB1CC1遺伝子産物に対するprobe,抗体を作成しました.そして、乳癌や前立腺において、本遺伝子変異が関わっている頻度を、作成したRB1CC1 probe,抗体を使って、現在検索中です.
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