研究概要 |
本研究課題の初年度にあたる平成13年度の研究経過と実績は以下の通りである。 1)全国と沖縄の慢性気管支炎、肺気腫、喘息に関する7年間(1992〜1998年)の人口動態死亡情報および1995年の国勢調査人口を用いて沖縄全体、市部と郡部、本島と離島に関し、性別に全国を標準(100とする)としたSMRを算出した。いずれの疾患による死亡数も年齢が高くなるに従って多くなる傾向があった。性別にみると慢性気管支炎と喘息は女に多く(163人対234人、252人対337人)、肺気腫は男に多かった(273人対106人)。沖縄の慢性気管支炎および喘息による死亡リスクは男女とも全国に比べ有意に高かった(男120、女197および男129、女185)。肺気腫の死亡リスクは女で有意に高く、男では全国とほぼ同レベルであった(男101、女166)。3疾患とも女の死亡リスクが特に高くなる傾向がみられた。その原因究明のため喫煙状況などの生活習慣とともに大気汚染や農作業等による環境因子についても今後調査する必要がある。 2)沖縄における慢性気管支炎、肺気腫、喘息による死亡が全国と比べて高い要因を明らかにするために、沖縄県内(10市、1町、9村)に在住する55歳から84歳の6,000人を対象としたアンケート調査を実施した。回収率は37.4%であった。喫煙開始年には有意な性差がみられた。慢性気管支炎、肺気腫、喘息には共通のリスクがあることが示唆された。過去に喫煙歴があり現在喫煙をしていない者の中に、復帰(1972年の祖国復帰)前に米国製のタバコを吸ったことのある者がおり、これらの者は比較的若い時に米国製のタバコを吸い始め、近くにタバコを吸っている人がいても嫌に思わない者の割合が高かった。若年にタバコを吸わなければ、タバコが嫌いになると推察でき、30歳未満の者への禁煙教育の徹底が、COPD予防に繋がると示唆された。
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