本研究では、従来画像分析にたよっていた泳者推進力の定量をできる限り、精度が高く、簡便に行うために、圧力センサと加速度センサを用いて、推進力と運動パターンを同時に解析できる装置の開発を目指した。今年度は、主に計測装置及びデータ記録装置の基本設計および予備実験を行った。 本装置は、おもに圧力計測部、加速度計測部、データ記録部からなり、直径約3cm、長さ約15cmの防水円筒型ケースに全て収納できるよう、超小型化した。この小型化および防水性の向上により、本装置を直接、泳者の前腕に装着し、非拘束の状態で長時間、計測が可能となる。これまでも有線であれば同様の計測は可能であったが、その場合、回流水槽等を用いないと、長時間計測することは不可能であった。しかし本装置を用いれば、一般のプールでも、泳者前腕に取り付けるだけで、どんな種目でも対応することが可能となる。実際の計測では、圧力計測に関しては、防水型圧力センサ(PS-2K、共和電業製)を4個用い、手掌部と手背部にそれぞれ2個ずつ装着して、手部表面の圧力を計測する。また加速度計測に関しては、三軸型マイクロ加速度センサを用いて、泳者手部の加速度変位を計測する。計測された圧力および加速度のデータは、A/D 変換して、サンプリング周波数100Hzで記録される。予備実験では、加速度計測には問題はなく、今後圧力計測実験を行う予定である。
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