研究分担者 |
澤木 啓祐 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20053225)
形本 静夫 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 助教授 (50053343)
内藤 久士 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 助教授 (70188861)
前嶋 孝 専修大学, 法学部, 教授 (70053147)
南谷 和利 順天堂大学, 大学院・スポーツ科学研究, 教授 (80053023)
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研究概要 |
本年度は,テーマ1として,中等度常圧低酸素環境への慢性暴露および運動がラットの赤血球生成に及ぼす影響,テーマ2として,14日間のLiving in normobaric hypoxia, training in normoxia(LH-TN)がヒトの赤血球生成および持久的運動能力に及ぼす影響について研究を行った。 テーマ1では,若齢雄ラット(n=28)を通常大気-安静(NS)群,通常大気-運動(NT)群,低酸素-安静(HS)郡および低酸素-運動(HT)群に分け,HS郡およびHT群は酸素濃度15.4%に設定した常圧低酸素環境に50日間暴露し,HT郡およびNT群については自発走運動を行わせた。その結果,走行距離はNT群では実験期間中増加を続けたが,HT群は低値を維持した。常圧低酸素環境への暴露は赤血球(RBC),ヘモグロビン(HGB)およびヘマトクリット(HCT)を有意に高めたが,運動はRBCを低下させた。常圧低酸素環境への暴露は赤血球生成を促進するが,低酸素環境下での自発走運動は赤血球を引き起こさないことが明らかにされた。現在、筋組織における組織・生化学的な指標を測定中である。 テーマ2では,10名の男子スキー選手が14日間にわたり,対照群は平地に,LH-TN群は1日10-12時間常圧低酸素室に滞在した。いずれの群もトレーニングを通常通り平地で行った。その結果,LH-TN群において,網状赤血球(Ret)とエリスロポエチン(EP0),およびVO2maxとVEmaxの有意な増加が認められた。しかし,RBC,HGB,HCTに有意な増加は認められなかった。常圧低酸素室を用いた14日間のLH-TNは,RBCおよびHGBの増加には至らないが,赤血球生成を刺激し,さらには持久的運動能力を向上させる効果的なトレーニング方法となる可能性が示唆された。現在,筋の血流動態のデータを解析中である。
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