研究課題/領域番号 |
13480018
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
田和 正孝 関西学院大学, 文学部, 教授 (30217210)
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研究分担者 |
秋道 智彌 国立民俗学博物館, 民族文化研究部, 教授 (60113429)
野中 健一 三重大学, 人文学部, 助教授 (20241284)
篠原 秀一 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (50251038)
飯田 卓 国立民族博物館, 民族文化研究部, 助手 (30332191)
後藤 明 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (40205589)
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キーワード | 小規模漁業 / 塩干魚 / 石滬(チューホー) / フカヒレ / 水田-養魚システム / 工芸用具類 / 水産物流通 / 参与観察 |
研究概要 |
本年度は2年計画の第1年度にあたり、研究者全員で、小規模漁業の漁具・漁法の調査、商業的漁業の実態の解明、水産物の利用形態とローカルな流通機構の把握にとりくんだ。 田和は、マレー半島における塩干魚生産と流通について、フィールドワークに基づいてデータを収集した。その結果、タイ南部からの塩干魚輸入ルートを確認し、ケランタン州における塩水に長期間漬けこむ塩魚の存在を見出した。また、台湾の伝統漁具石濾(チューホー)の調査では、苗栗縣、澎湖縣における大正期の石滬漁業権文書を台湾文献委員会が所蔵する台湾総督府資料から得ることができた。 篠原は、宮城県気仙沼のフカヒレ生産をふまえて、その流通・集荷のセンターであるホンコンを調査し、西営盤、永楽街の卸売、小売の状況を観察した。 野中は、秋道、後藤とともにベトナム、メコンデルタ地帯のカントー市を中心に、農業養魚システムの普及過程を調査し、さらに内陸部への海産魚介類の流通の実態を把握した。その結果、土地条件、市場流通による水田-養魚システムの形態の違いと地域差、導入時における農民の資本力と普及員の活動が重要であることが明らかとなった。いっぽう伝統的なシステムに対して新システムの導入によって、在来魚介類の利用が減少していることも明らかとなった。 後藤はさらにフィリピン中部ビサヤ地方にて工芸用の貝類の流通について実態把握をおこなった。その結果、貝の集積と流通にかかわって、(1)貝を採集する漁業者、(2)仲買人、(3)集積商あるいは骨董商、(4)工房・職人、(5)販売者というネットワークが成立していることが明らかとなった。 飯田は、マレー半島東海岸トレンガヌ州のジヤンブ・ボンコッ村にフィールドを設定し、マレー人漁村の生活と漁業活動の参与観察にとりくんだ。結果として、漁業者と仲買人との関係、多様な水産物消費の実態について多くのデータを得た。
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