研究概要 |
本年は,3年計画の2年度目として,(1)白頭山火山の10世紀頃の噴火に関連する火砕琉堆積物から採取した埋没樹木について,1年輪ごとに分けて14C年代測定し,それに対してウイグルマッチングを実施し,火山噴火年代としてAD936+8/-6を得た.また,(2)ウイグルマッチングの精度をあげるために,9-11世紀の年輪を持つ屋久杉の採取の可能性を調査した. 昨年の研究成果として,当センターに設置されているタンデトロン加速器質量分析装置の測定精度として,現代から約5千年前までの試料について,測定誤差±20〜±40年,正確度±40年で年代測定を実施できる.そこで,昨年度の現地調査により採取した埋没樹木について,14C年代測定を高精度で実施した.樹木の年輪を1年輪ごとに分割し,ほぼ90年分の年輪から30個の年輪試料を選んで14C年代を測定した.次に,14C年代一年輪年代を関係つけるデータとして世界的な評価を得て使用されているINTCAL98 (Stuiver et al.,1998)に対して,測定した14C年代のウイグルマッチングを実施し,採取した樹木の白頭山噴火の火砕流による枯死年代としてAD936+8/-6を得た.得られた暦年代の妥当性の検定を進めている. ところで,INTCAL98は,樹木年輪を10年輪ごとにまとめて14C年代測定されているため,ウイグルマツチングによる年代決定の精度には限界がある.そこで,屋久杉を用いて,9-11世紀の年輪を1年輪ごとに分けた高精度の14C年代一暦年代較正データを作成するために,屋久杉の調査を行った.採取した屋久杉について,目下年輪年代の決定を行っているところである.
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