住宅において自然エネルギーとしての昼光を有効利用するとともに、快適な光環境を創出するための基礎的な資料を得ることを目的として、アンケート調査、住宅における実態実測調査および側窓採光による室内昼光空間評価の影響や窓装飾や窓遮蔽材が光環境評価や在室感にどのように影響するかまた実験室実験を行った。 その結果、以下のことが明らかになった。 昼間には中高年齢層は居間を、青年層は私室を利用していることが多い、高齢者は明るくなくても人工照明をつけずに生活していることが多い。集合住宅の中・低層階居住者は採光に不満を抱くとともに戸外からの視線を気にする人が多い。実測調査では、人工照明をつける=輝度が高くなるというわけではない住宅も認められた。室内照度は、軒・庇の出や開口面積とより隣家との関係が大きく影響している。在室感評価は、レースカーテンの物理的性質のうち透過率と最も関係があり、在室者の視線に対する意識の高低も関係する。視線意識の低い人であれば60%程度の透過率を目安にすればよい。窓幅に対する生地の使用幅は標準より20%程度少なくてもそれほど違和感なく在室する事が出来る。室内昼光空間の光量感評価実験では高齢者に比べて若齢者の方が照度の低下に伴う評価値の変化量が大きく、照度の低下に伴う光の量の感じ方も敏感であるといえる。また、人工照明の必要・不要の判断にも照明室の順応照度や昼光室での順応時間が影響することが明らかになった。
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