研究課題/領域番号 |
13480026
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
久保田 紀久枝 お茶の水女子大学, 生活科学部, 教授 (90008730)
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研究分担者 |
森光 康次郎 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (00244533)
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キーワード | アクロレイン / リノール酸 / citronellal / 1'-acetoxychavicol acetate / citral / α-リノレン酸 / グリセリン / DPPHラジカル |
研究概要 |
加熱調理における香辛料の香気特性や生理活性について調べる目的で以下の研究を行った。昨年度不飽和脂肪酸の多い油脂加熱において低沸点アルデヒド類、とくに毒性の強いアクロレインの生成が顕著であり、一方ある種の香辛料にはその生成抑制効果があることがわかった。本年度さらにアクロレイン生成機構について検討した結果、油脂が高温に加熱されるとまず脂肪酸とグリセリンに分解し、従来グリセリンからアクロレインが生成すると報告されていたが、グリセリンからは生成されず、遊離した脂肪酸、特にリノール酸やα-リノレン酸など不飽和度が高いほど多くアクロレインが生成されることが確認された。また、香辛料のオレガノに強い生成抑制が認められ、ヘキサンおよびメタノール抽出成分に強い活性が認められた。それぞれの画分を加え加熱処理した油脂の酸化劣化度を調べた結果、酸化度とアクロレイン生成量がよく対応したことより、アクロレイン生成には酸化が主として関与していると示唆された。また、アジアエスニック料理に利用される、コブミカン、ナンキョウ、レモングラスについて単独、あるいは2-3種混合して用いた場合の煮熟中の香気成分変化及びラジカル捕捉反応による抗酸化活性の消長を調べた。いずれにおいても、主成分であるシトロネラール、1'-チャビコールアセテート、シトラールなどが煮熟中に一部または完全に分解し、減少した。2種または3種の香辛料を共存させて加熱した場合にも抑制傾向はなく主成分は減少したが、混合することによる特徴的な香気生成が見られた。また、各香辛料の新鮮物水抽出液、脂溶性成分及び煮汁成分の抗酸化活性をDPPHラジカル捕捉能により検討した結果、いずれも香気成分ではなく水抽出液にアスコルビン酸相当量で約150mg/100g湿重量の高い活性が見られ、その活性は煮熟によっても安定であり、これら香辛料の活性は加熱後も有効に活用可能であることが示された。
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