研究概要 |
1)コブミカン、ナンキョウ、レモングラスを試料とし、加熱による香気成分組成の変化について調べた。コブミカン葉について生葉特有の香りとその変化に関与する成分をcitronellalと特定した。煮熟によりその一部が分解し、においの弱いp-menthane-3,8-diol類(異性体)が生成されることをはじめて明らかにした。 上記3種の香辛料について単独または2または3種類組み合わせて煮熟した時の香気成分組成変化を調べた。レモングラスのcitral(neral+geranial)は比較的安定であったが、コブミカンのcitronellal、ナンキョウの1'-acetoxychavicol acetateはそれぞれ一部または完全に分解し、減少した。2種または3種の香辛料を共存させて加熱した場合も抑制傾向は認められず主成分は分解したが、混合することにより主要成分が全体的にバランスよく配合されることとなり独特の香気に寄与している可能性が示唆された。 2)コブミカンの生および煮熟香気成分について抗菌活性および血小板凝集阻害活性を調べ、比較した。いずれも活性は弱かったが認められ、いずれも煮熟試料に強い傾向が見られた。コブミカン、ナンキョウ、レモングラスを単独または2または3種類組み合わせ、メタノール抽出物と煮汁成分の揮発性および不揮発性成分の抗酸化活性をDPPHラジカル捕捉能により検討した。いずれも不揮発性成分に高い活性が見られ、その活性は煮熟によっても安定であった。 3)油脂加熱調理に伴う不快臭の要因である低沸点アルデヒド類の定量的分析法を確立し、油脂の種類や加熱温度とアルデヒド生成量との関連を調べた。キャノーラ油にアルデヒド類の生成が多い傾向が見られた。ジンジャーとオレガノのメタノール抽出物に強いアクロレイン生成抑制活性が認められた。
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