研究課題
1.目的赤小豆(Vigna angularis)は、赤飯、餡などに調理加工されて食される、日本では文化的にも独特の地位を占める豆である。しかし、赤小豆種皮色素、およびそれを製餡加工して得られる小豆色をした餡の色素の化学構造は未だ全く明らかになっていない。この解明を目的に、種皮色と餡色に関与する色素の抽出と分析、構造解明を目指した。2.方法および結果昨年度の確立した方法で、種皮および餡の色素分析を行なった。北海道産の小豆(品種エリモショウズおよびしゅまり)の登熟種皮を液体窒素で凍結後粉砕し、3%TFA含有50%CH3CN水溶液で抽出した。通常の方法で製餡した試料の1)原料小豆種皮、2)煮熟小豆、3)渋きり水、4)煮熟後の種皮、5)さらし餡、6)加糖餡、をそれぞれ凍結乾燥して同様に抽出した。抽出試料を逆相カラムを用いてHPLCで分析し、比較した。登熟小豆種皮の抽出液中に、既報のシアニンとは全く異なる紫色色素を検出できた。この色素は煮熟小豆、皮、さらし餡にも含まれ、これが餡色を表す色素である。一方、渋きり水には全く含まれていなかった。エリモショウズとしゅまりの餡色は、種皮色が同じであるのにも関わらず、大きく異なり、しゅまりの方がより紫色である。しかし、いずれの品種から調製しあ餡にも同程度の量の紫色色素が含まれていたことから、餡色の違いは、共存成分の影響によると推定された。さらに、大量の小豆種皮から、この色素の単離方法を検討中である。70%アセトン水溶液で抽出し、これを各種クロマトグラフィーによる精製条件の検討を行なっている。
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