研究分担者 |
鈴木 三男 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80111483)
野堀 嘉裕 山形大学, 農学部, 教授 (80237867)
船田 良 東京農工大学, 農学部, 助教授 (20192734)
安江 恒 信州大学, 農学部, 助教授 (00324236)
加藤 輝隆 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (80115162)
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研究概要 |
樹木年輪年代学は20世紀の初頭に,アリゾナ(米国)の乾燥地帯で確立され,ヨーロッパでも多くの成果が得られた。しかしながら,温暖な上に降水量も多い日本では年輪年代学の適用が困難ではないかと考えられた時期があった。日本で年輪年代学を確立するためには分布範囲が広く,樹齢の長い樹種について肥大成長の同調性を空間的に明らかにする必要がある。 日本の年輪年代学は奈良文化財研究所を中心として,基礎が築かれてきたが,解析された地点を日本地図にプロットすると近畿地方を中心として九州から関東地方に集中している。北海道地方は皆無であり、東北地方も限られており空白地域になっている。これは、出土材や建築材が温帯系の針葉樹であるヒノキ、スギが多く、それを対象とした研究が優先されてきたからである。 本研究では、関東以北から北海道に生育する冷温帯系の針葉樹であるヒノキアスナロ(ヒバ:本州北部から北海道南部に分布し、北陸地方ではアテとも呼ばれている)を中心とし、それらの産地間で同調性を見いだすことによって、東北日本における年輪年代学の手法を確立することであった。この研究を進展させるために他の樹種も併せて検討を行った。 結果として、産地を異にする北海道檜山郡厚沢部(道南)と青森県津軽地点間でヒバの時系列年輪幅変動に同調性が確認された。北海道渡島半島や青森県などでは古くからヒバ材が一般的に用材として使われていることより、ヒバはヒノキやスギと同様に年輪年代学の手法の適用が可能な樹種であり、わが国の年輪年代学の更なる発展に寄与できるものと考えている。 今後は、本調査で一部、手がけられた石川県能登産のアテや中部以北で数多く産する同属のアスナロを含めて同調性の調査をさらに発展させていきたいと考えている。
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