研究概要 |
本研究は、3Dデザイン発想支援として感性の働きを明らかにするために、印象実験を用いて脳反応とパーソナリティテスト結果を総合的に分析して行った。 平成13年度には、簡単な印象実験と脳反応測定をパイロット実験として行った。その結果をもとに、平成14年度には、印象実験における脳反応測定として、3Dの製品をQTVR観察、触れずに見るだけの実物観察、実物を触れながら観察するという3つの異なった環境を与え、それぞれの状況で受けた製品の印象をスケッチと粘土モデルで表現することで行われた。スケッチや粘土モデルによる表現は、知能を使わず、感覚的で感性的な印象がそのまま排出されやすく、感性情報として大きな役割をする。脳反応を測定においては、集中度、興味度、リラックス度を主に把握した。印象実験で新しい形を創造するときの脳波とほぼ一致する脳波が観測された行動を取り出してみた。複雑で立体的な3Dパズルを解ける行動と創造するときの脳波が被験者全員にほぼ一致するような結果が見られた。これによって、デザインの創造性を支援する教育プログラムとして、より楽しく集中しやすい質の高い創造を導き出すために、教育機器の開発など発想支援の可能性が見受けられた。 粘土モデルは、製品に対する印象が初期的で原始的であるといえる。それらを非接触3D形状測定器でCGデータに変換し、その形をCGプログラム上で変形するなど、デザイン発想のベース形状として応用可能な初期印象モデルとして発展させた。本研究の業績として、平成13年にはSCI2001(5^<th> World Multi-Conference on Systemics, Cybernetics and Informatics, pp.386 ̄391)で優秀論文賞を受賞した。平成14年には、イギリスのTaylor & Francisという出版社からPleasure With Products : Beyond Usabilityが出版され、Design based on Kansei (pp.219 ̄229)というタイトルで紹介された。口頭発表は、The 3^<rd> Design and Emotion Conferenceにてその成果を報告した。
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