研究分担者 |
岡崎 慎治 筑波大学, 心身障害学系, 助手 (40334023)
李 昇姫 筑波大学, 芸術学系, 講師 (80259051)
原田 昭 筑波大学, 芸術学系, 教授 (70114121)
菊池 司 拓殖大学, 工学部, 助手 (60327997)
木嶋 彰 拓殖大学, 工学部, 助教授 (10195232)
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研究概要 |
人の感性評価の構造をモデル化することを目的として,人が最も感性的な評価を下す状況下である美術鑑賞を選び,遠隔操作ロボットを操作して鑑賞するログを分析することによって研究を進めた結果,以下の点が明らかになった. 1)仮想美術館における鑑賞軌跡ログデータをリアルタイムに取得できるソフトウェアを開発することによって,仮想空間内における特異な行動を定量的に扱った.このことによって,仮想空間で人が鑑賞する行動のうち,本人も気づかない潜在的行動が存在していることが実証できた.この行動の違いは空間を捉える潜在的なメンタル・プロセスでの働きがもたらすもので,脳で最も現実に近い鑑賞の仕方に置き換えて移動し,認識していることを明らかにした. 2)遠隔操作ロボットによって送られてくる鑑賞ログデータをGlobalColor, LocalColor, Texture, Structureの4つのパラメータによって自動分類できるシステムを用い鑑賞画像を時間軸に沿って分類した.これに先立ちMPIパーソナルテスト行った結果との比較を行い,人のパーソナリティによる操作プロセスと鑑賞行動の傾向には相関があることが明らかになった. 3)遠隔操作ロボットを用いた鑑賞時における鑑賞者の作品に対する関心度の移り変わりを意識的と無意識的な両面からリアルタイムに取得できる実験を同時に行った結果,人が意識した評価と脳波を用いた無意識の評価には多くは整合性が確認できた.しかし,ある部分では逆もあった.このことは,所謂,人の意識的な評価は常に無意識的な評価とは一致しないことを示すと共に,無意識的な心の働きが感性評価として存在していることを示している. 本研究は,感性評価を鑑賞という,所謂,受身の立場で捉えてきたが,感性評価の構造化を行うためには,今後の課題として,人の創造プロセスからの感性の働きを解明する必要がある.つまり人が創造するプロセス,能動的なプロセスから感性評価を捉えることが必要である.
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