研究概要 |
1.エネルギー・環境教育教材の開発 (1)化学カイロにおける鉄の酸化反応を定性的および定量的に追跡する生徒実験の手法を開発するとともに,実験廃棄物中の酸化鉄を還元処理する実験を開発し,鉄のリサイクルによるエネルギー利得を考察させる教材とした。さらに,酸化鉄の還元処理にマイクロウェーブ加熱を採用し,グリーンケミストリーの観点から教材に用いることを検討した。 (2)種々の有機物の合成反応に,マイクロ波加熱を適用し,エネルギー所要量や有害化学物質の削減により化学反応教材のグリーン化をめざした教材開発に取り組んだ。サリチル酸と無水酢酸によるアセチルサリチル酸の合成反応にマイクロ波加熱を適用した場合の実験条件の詳細を明らかにした。 2.教育実践的研究 高等学校「理科総合A」の学習内容と密接に関連させて,環境保全関連施設の見学,環境問題についての調べ学習,物質のリサイクルに関する化学実験,学習成果の発表会などを盛り込んだエネルギー・環境教育プログラムの試案を作成し,広島市内の県立高等学校において2ヶ月にわたる教育実践的研究を行った。実践研究の分析評価を基にして,教科内容と関連させた環境教育を実施することによる教科内容論的観点からの利点や問題点を明らかにした。 3.指導者養成 教員養成系大学・学部における基礎化学教育カリキュラムについて検討し,環境教育指導者養成の立場から,その内容,構成,および到達目標を含んだモデル・コア・カリキュラムを提案した。 4.国内外の環境教育 地域における就学前段階からの自然体験型学習による環境教育の重要性について,「妖精ムッレ活動」の事例について分析評価を行った。
|