平成13年度は、新教育課程実施前の中学校と高校における、生徒の部活動への関わり方と考え方、学校生活の様子、進路選択、友人関係などの特徴を把握するために、生徒対象のアンケート調査を実施した。ただし、移行措置に伴い、平成13年度より新教育課程に切り替わってしまうため、中学生調査は、平成12年度末に前倒しして実施した。調査対象地域は7都県(東京都、新潟県、静岡県、岐阜県、島根県、高知県、鹿児島県)で、35校の2年生4206名が調査対象である。高校生調査は、本報告書作成時点で調査実施中である。調査対象地域は3都県(東京都、新潟県、静岡県)で、大都市圏、中都市圏、小都市を含む郡部という地域設定を行い、各地域で、公立普通科、公立専門学科、私立普通科など多様なタイプの高校約30校を調査対象校として選定して、2年生5000人規模の調査である。 中学生調査から得られた主な知見は次のとおりである。 第一に、部活動をはじめ、生徒の学校の諸場面に対するコミットメントの違いから4つの基礎類型を案出して、それらと生徒の分化の関係について考察したところ、学業成績とは独立して、コミットする場面が多いほど自己評価が高くなることや、それが進路希望に対する補償効果をもつことが明らかになった。第二に、生徒の部活動における友人関係の構築の違いについて、部活動に対する意識から分析し、部活動への適応不適応にも質的な差があることから、同じ部活動仲間志向の生徒でも、さまざまな友人関係の結び方があることが明らかになった。第三に、中学校以前・以後の連続的視点から、出身家庭の条件の違いによって生徒の部活動やスポーツ・文化的活動が違っているが、部活動が学校教育で組織化されているため、その格差を縮減する方向にあるということが明らかになった。第四に、生徒の部活動への関わり方が都市規模によって異なっていることが明らかになった。
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