平成15年度は、第一に、新教育課程下において、部活動のあり方、教師による生徒指導や進路指導、生徒の学校への関わり方や進路選択のありようにどのような変化が生じつつあるのかを把握するための観察調査・インタビュー調査を行った。部活動の地域との連携や移行の先進的な事例に関してデータの蒐集を行ったほか、昨年度までに引き続き、東京都、静岡県、新潟県の各1〜2校で継続的な調査を進めた。以上の調査から得られた知見は次のとおりである。 部活動は、クラブ活動の廃止によって教育課程上の制度的な裏づけを失ったことや少子化などの影響もあって、指導者の人員確保が難しくなっている。そのような中で、外部指導者の導入や部活動の地域との連携や移行の取り組みが積極的になされている。その状況について、第一に、外部指導者は、従来の部活動で築かれてきた教師-生徒関係とは生徒との関係のもちかたが異なるため、従来の教師-生徒関係やそれらを通して行われてきた生徒指導などの教育活動をどうするか、学校における教育活動全体の見直しが必要であることが示唆された。第二に、従来部活動の顧問としての教師が担っていた役割のうち、どの部分は地域に委ねることができ、どの部分は委ねることができないのかを検討する必要性があることが示唆された。第三に、世論レベルでは地域との連携や移行が期待される一方、学校現場レベルではなかなか取り組みが進まない。それは、学校の組織的な決定のしくみが、必ずしもある合理的な考え方によって進められるのではなく、その時その時に起きた問題を解決していくという方法でなされているためであり、それが取り組みを停滞させる原因であることを明らかにした。 第二に、平成16年度に予定している、中学生と高校生を対象とした新教育課程移行後の部活動や学校生活に関する質問紙調査に向けて、平成13〜14年度に実施した調査の再分析と質問紙の作成を行った。
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