研究概要 |
本研究では,マルチメディア構造や知識などコンピュータ内で対象を表現した際,対象物が自然と数値化されて本来の構造を反映した幾何空間が導入され,その幾何空間上での様々な情報処理アルゴリズムを研究・開発することを目指している.特に,その離散的構造を解析することによって,コンピュータで対象からの知識獲得など種々の高次の処理をその幾何構造を通して行うことを目的とする.本年度は,直接的な2, 3次元構造として地理情報・知的交通システムの諸問題について成果を上げるとともに,計算代数幾何という分野での最適化方法について検討を進めた. ITSと称される知的交通システム分野では,2地点でのセンサ情報より,全域的な交通量を解析するネットワーク構造アルゴリズムを開発した.この成果は電気学会論文誌に受理されている.GISと称される地理情報システムについては、現状のシステムのサーベイを行い,これを情報処理学会の英文図書での1章として出版する運びとなっている. 計算代数幾何においては,計算代数で新しい概念として注目されている標準対(standard pair)について,2次元単体的複体のレベルであるネットワークフローを題材として,それのもつ離散構造の意味を明らかにした.特に,従来明らかでなかった計算代数アプローチでの双対性を指摘し,計算代数の主道具であるGroebner基底とともにこの標準対によって始めて主双対の枠組みを提示することができた.この結果は,研究当初のものとは既に日本ハンガリー離散数学とその応用国際会議において発表している.また,量子計算における離散幾構造の研究も行い,同じ会議でその最初の成果を発表した.
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