研究概要 |
本研究では,マルチメディア構造や知識などコンピュータ内で対象を表現した際,対象物が自然と数値化されて本来の構造を反映した幾何空間が導入され,その幾何空間上での様々な情報処理アルゴリズムを研究・開発することを目指している.特に,その離散的構造を解析することによって,コンピュータで対象からの知識獲得など種々の高次の処理をその幾何構造を通して行うことを目的とする.本年度は,この幾何構造を量子情報幾何の空間にまで広げて量子情報処理における幾何構造活用について成果を上げるとともに,情報理論・学習論の観点からの圧縮のシステムを開発し,前年度に引き続いての計算代数的アプローチでは単体的複体・3角形分割での理論・システム開発を進めた. 計算代数幾何における位相的研究の基礎として,3角形分割について一般の次元で有効な列挙手法を提示するとともに,3角形分割のさらに抽象的構造である単体的複体についてシェリングというよい性質について判定するシステム開発を行った. 量子情報処理においては,量子クローニングで幾何構造を用いた理論を提案するとともに,それを現在の技術で実験実現するためのスキームの提案も行った.関連して,確率的可逆計算と量子計算の計算能力を1カウンタオートマトンの計算モデル上で比較した.さらに,古典情報理論に戻り,かつ情報学習の観点から統計的圧縮方法について実装とその解析を行った.
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