研究概要 |
本年度は、前年度に構築された仮想心理実験室を実験環境に用いて,その教育場面への展開を行なった。 具体的には,計算機上に実現された仮想心理実験室を用いて,学習者が主体的に仮説形成,実験計画,仮説検証といったプロセスを体験し,学習するための環境をデザインする。本環境の特徴は,学習者が,自分自身の認知プロセスと関係つけて,仮想心理実験室上のエージェントの方略や能力を操作するように仕組まれていることにある。実際に一般の大学生に対して,構築された環境を用いた授業を半期にわたり実践し,その結果に基づき本学習環境の有効性を実証的に検討する。プレテストとポストテストを比較した結果,学習者は,本環境を用いた授業に参加することによって,より適切な心理実験計画の方略を用いることができるようになること,また自分自身の認知プロセスを明確に定義された心理学的概念を用いて自己省察する態度が生まれることなどが確認された。 さらに,報告者らが提案してきたEBSと呼ばれる学習者の実験過程をトレースし,フィードバックするスキーマを用いて学習者の実験をサポートしたところ,同手法が学習者の実験過程の改善に有効に作用することが確認された。
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