研究概要 |
ますます増えつつあるウェブ情報の処理効率を高めるための方法として,検索データの再利用のためのウェブキャッシュおよび受け取る情報を良質なものに制限するための情報フィルタリングが知られている.本研究ではこの2つの機能を持つより一般的なシステムとして,ヴェブデータウェアハウスという概念を提案する.またウェブ情報の有効利用例として,ウェブ情報から抽出したデータを利用する地理情報システムを開発した. ウェブデータウェアハウス(WDH)の研究ではこれまでのウェブキャッシュアルゴリズムの研究を元に,アルゴリズムの改良とシステムの基本機能の設計を行った.また,WDHにおける利用者の利用状況解析を行いそれをキャッシュ,プリフェッチ,ブロードキャストに役立てる方式を開発した.さらにデータのフィルタリングにも使うことによって,パーソナライゼーションと効率化を実現した.これらの機能を実現する上で特に重要になる検討事項として,ウェブキャッシュデータのデータベース的利用,データの特性解析,WDHの動的階層構成が挙げられる.これらの項目を特に集中的に検討することにより効率のよいWDHを実現した. WDHは全世界にある情報を効率良く取得するための概念であるが,その一方で実際には検索されるべきデータがある特定の地域に関するものに限られることが多いことも事実である.この利用形態に対応するため,高水準の地理情報システムの概念を導入し,開発を行った.本システムは世界的に評価を受けており,この概念を基にしたシステムが韓国やスイスで開発されはじめている.本システムの開発のため,自然言語処理技術を応用してウェブページから地域情報を抽出する手法などを考案した.このほか,ウェブページの効果的な分類手法の開発,移動端末向けの地域情報ウェブページの効率的なキャッシング手法の開発,リンク構造に着目した効率的な検索手法の開発を行った.
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