研究課題/領域番号 |
13480111
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会システム工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松島 克守 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90011204)
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研究分担者 |
美馬 秀樹 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30359658)
後藤 正幸 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40287967)
藤末 健三 東京大学, 工学部附属総合試験所, 助教授 (10313040)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 製造業 / ビジネスモデル / ビジネスプロセスモデル / 企業経営 / 科学的経営 / 経営シュミレータ / 知の構造化 / グローバル・コックピット |
研究概要 |
近年の情報通信技術、とりわけディジタル化技術とネットワーク技術が経済構造を変え、電子商取引に見られるように新市場をリードしている。しかし、本質的な価値を与えているのはそのディジタル経済構造の中で取引されている「知識」である。この意味で本邦製造業は経済的に過小評価され、海外資本の買収対象になっていることは重大危機状況である。現在の問題は、知識の創出や、その事業価値への変換、情報の収集・整理、組織、個人間の共有、等が面談や会議を主体とした人間系と、紙・写真、書籍等の旧世代の情報処理とコミュニケーションに拠る所である。加えて、事業の附加価値を金属加工等物理的な世界に依存する割合が高く、知識を十分に附加価値として対価を得ていない。加えて、企業活動とその管理の処理速度が遅く、情報通信技術を駆使した欧米の先端的な企業や市場に対応しきれていない事である。すなわち21世紀製造業のビジネスモデルが未だ不確定である。そこで、本研究の核は大規模複雑な企業活動を制御する具体的なパラメータ(経営評価指標)の設定と、モデルとして仮想空間に表示する手法の確立により企業の知識の活用を加速することにある。具体的には、近年、従来の「勘・経験・度胸」に大きく依存した企業経営から、いち早くビジネスチャンス、リスク要因を見つけ出し、必要な情報を収集、分析、シミュレーションし、意思決定を下すという一連のプロセスを迅速に行う経営方式、いわば「科学的経営」への移行が求められているが、これに対し本研究では、このような「科学的経営」の実現を支援するための経営者支援システム「グローバル・コクピット」を設計し、その情報モデルの構築手法の提案を行った。「グローバル・コクピット」とは、いわば「企業の操縦席」であり、見るべき情報が構造化され、それらのモニタリングに用いるグラフやメータ、分析に必要なツール、経営判断を下した場合の効果測定を行うシミュレータが整備された環境である。提案を行った構築手法に基づき、プロトタイプシステムの構築、折角型大型3面スクリーンを始めとする映像設備によるコクピット空間の構築を行い、「グローバル・コクピット」の実装を行った。また、実際の国内製造業メーカをケーススタディとして取り上げ、情報モデルの試作を行い、従来の経営者支援アプリケーションとの比較、および現実のデータを用いた本システムでの操作に対するアンケートを基にした技術評価を行い、本研究で開発したシステムの有効性を確認した。また、グローバルに展開する製造業に対し、IT技術や、情報抽出、知識獲得の技術を使うことによりこれまでの経済的合理性評価を超えるモデルの開発を行い、リアルタイム金融システムの活用による為替・関税の最適化や、北極海新航路の開発による物流コストの画期的変化などを評価する中で21世紀型の製造業のビジネスモデルのさらなる追求を行ってきた。具体的には、中国への進出を目的としたサプライチェーンマネジメントに関し、為替・関税を始めとした様々な動的要因及び静的要因を考慮したモデル化を行い、実際のデータを活用することでモデルの有効性を確認した。 これら、本研究の成果を用いることで、製造業の新企業においてより重要な、知識の構造化、知識共有、知識管理を始めとした、効率的な知識活用の実現が可能となる。
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