研究概要 |
本研究では,人間の高度な技能を分析し,伝承するための方法を一般化することを目的としている.本年度は主たる対象を伝統工芸品に置き,生活,医療の分野も含めて3つの技能の分析手法を開発した.成果概要を以下に述べる. (1)技能のデジタル測定技術による定量化:技能を暗黙知,五感,身体動作,道具・機械,作品・製品の5つの基本要素に分類して表現し,デジタル計測技術を用いて作品・製品の仕様の決定と設計図化,道具・機械および身体動作の3次元空間での動きを表現する手法を開発した. (2)技能作業者の身体動作のデジタル計測による定量化:三次元磁気センサーを用いて技能者,材料,道具の3次元空間内での動きを計測する方法およびハードウエアを開発し,楽面製作者の面彫り動作の特徴を明らかにした. (3)オプティカルフローを用いた神楽面打ち師の動作分析:技能者(面打ち師)の動作をオプティカルフローを用いて高速に分析する方法とシステムを開発した. (4)面打ち師による備中神楽面の木目推定技能の定量化:木材断面の年輪の形状から神楽面表面の木目を推定する手法を開発し,面打ち師によりこれまでに製作された神楽面の木目と類似するように木材(丸太)上の面を彫る位置を決定できるようにした. (5)微細外科手術用補助椅子の開発:外科医の微細手術作業を分析し,長時間の微細作業が精確に行えるように支援するための補助椅子を開発した. (6)料理作業ロボットの開発:料理作業を人間に理解できるレシピによる表現からロボット言語へと展開する手法,および複数のセンサを組み合わせて料理作業の状況を認識できるシステムを開発した.
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