研究概要 |
本研究では,人間の高度な技能を分析し,伝承するために、人間の身体、工具、対象物の動きを0.001分を単位としたデジタル計測値から分析する手法、及び対象物の形状を3次元デジタル計測値から分析する手法を開発することを目的とした。 本研究で使用している3次元磁気センサーは、0.07秒を単位として3次元位置及び3軸回転角度を計測できるので、サーブリグ動作の時間単位とほぼ同じ時間単位である。開発した分析手法は、身体動作,道具・機械の動きをサーブリグ動作で定量化を可能にする画期的な手法となる。また,材料・作品・製品については、平面上1×1mmを単位として、高さは0.1mmを単位として3次元計測できる装置を開発し、特徴を3次元的に評価する手法についても研究した。 長期間の経験により修得した技能として、岡山県内で備中神楽面の制作を40年以上続けている面打師の上腕、刃物、面の彫る作業中の動きを提案した手法で定量化した。また技能者の刃物の動きの定量化の結果を用いて、刃物の動きを教示すると共に評価のできる訓練補助システムを開発した。この装置を用いれば高技能者の技能をいつでも体験できるばかりでなく上達度を評価可能である。 さらに技能作業として、家庭内での技能作業としては料理作業、工場内では一品一品生産に対応する技能作業としてメンテナンス作業、汎用加工機械である平面研削盤、普通旋盤作業、柔軟な対象物を取扱う網整列作業について、技能の分析結果から作業のロボット化を行い、21世紀の世界対応「ものづくりシステム」の確立を図る。 また手術作業では特に縫合作業に注目し、医師の縫合作業を分析し、再現性を保証する為に縫合ロボットを開発し、縫合作業の定量化を行っている。手術作業は長時間に及び医師への身体的負担と共に手術動作の精度の低下をきたし、せっかくの高技能を発揮できなくなり、手術時間の延長にもなりかねない。そこで、手術中の医師の上肢を支えるアームレストを開発し、手術の状況に合わせて自由に位置を変えることができる機構とした。
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