研究分担者 |
平石 哲也 (独)港湾空港技術研究所, 海洋・水工部, 研究員
岩崎 伸一 (独)防災科学技術研究所, 総合防災研究部門, 主任研究員
今村 文彦 東北大学, 大学院・工学研究科・附属災害制御研究センター, 教授 (40213243)
山田 伸之 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教務職員 (80334522)
築山 洋 (株)築山研究室, 室長
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研究概要 |
本研究は,震源域内を含む近地津波を,早期に検知し警報を発令するシステムを開発することが目的である.そのために,津波に比べ格段に早く伝播するレイリー波やそれによって励起される海面変動(以後,津波先行波と呼ぶ)を観測して津波を推定する点が本研究の新しい点である.これまでの研究実績として以下のことが挙げられる. 1. 動的津波解析によるレイリー波・津波先行波・津波の相互関係の解明 従来の津波解析手法は,地盤の永久変位を津波初期波形として与え,伝播には長波近似を用いる近似解法であった.しかし,本解析手法では断層運動による時々刻々の地盤変位を流体底 部に与えることで津波を発生させ,津波の伝播には支配方程式にナビエ・ストークス方程式を用いた厳密解法で津波解析を行った(以後,動的津波解析と呼ぶ).この動的津波解析を用いてレイリー波・津波先行波・津波の相互関係を2次元解析から求めた.今後は,引き続き3次元解析と理論解析から関係を求めていく予定である. 2. 1999年台湾集集地震でのレイリー波伝播特性について 動的津波解析の結果からレイリー波の振幅が断層正面,特に断層の破壊伝播方向で大きくなることが指摘されていた.そこで,実際の現象と比較し本解析手法の妥当性を検討するため,1999年台湾集集地震時に観測された多数の地震記録を用いてレイリー波の振幅の大きさや伝播方向を調べ,解析結果との比較を行った. 3. 波源近傍での津波遡上解析 本研究の流体解析にはSOLA-SURF法[C. W. Hirt他,1975]が用いられてきたが,手法上の制約から流体端部は鉛直壁のみの扱いであった.そこで,SOLA-SURF法を発展させたVOF法[B. D. Nichols, 1980]を本解析手法に導入することで端部鉛直壁の制約を取り払い,近地津波の遡上解析を扱えるようにした.
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