研究概要 |
富士山北東麓に位置する山中湖においてボーリング掘削により湖底堆積物を採取し,その中に挟まれる火山噴出物(テフラ)の層序を基に,過去数万年にわたる富士山の噴火活動史を明らかにし,山中湖周辺陸上域に堆積したテフラの調査・解析と併せて,火山活動史および発達史を解明することを目的に研究を行っている.また,併せて火山災害実績図やハザードマップを作成する上での基礎資料を得ることも目的としている. 今年度は山中湖における湖底堆積物の採取深度を検討するために,既存の資料を収集・検討し,この検討結果に基づいて湖底堆積物の試料採取深度等を決定した.その結果掘削長120mのボーリング掘削を実施し,概略のコア層相記載・写真撮影を行った,ボーリング掘削の結果,河川成〜湖沼成の湖底堆積物を挟在する膨大な量の降下火山砕屑物(テフラ)が採取できた.このテフラは大きく50数枚の降下テフラユニットからなり,それらはさらにいくつかの降下スコリア・火山礫・軽石サブユニットに細分され結果として100層以上の降下テフラサブユニットが採取できた.これらは層相か、以下の3つのユニットに大きく区分ができる. ユニット1:深度0〜約34m,おもに陸上堆積した降下テフラ(スコリア)群よりなる. ユニット2:深度約34〜90m,おもに降下テフラ(スコリア)群からなるが,間に砂・泥などの湖底堆積物を挟む. ユニット3:深度約90〜120m,おもに降下テフラ(スコリア)群と湖底堆積物(砂・泥)とからなる. これらの年代を明らかにする広域火山灰等は肉眼的には見いだされていないが,陸上部のテフラとの対応から過去数万年間のテフラを採取していると推定される. 来年度以降詳細な湖底堆積物の層相解析,粒度及びテフラ分析を行い,テフラや湖底堆積物の特徴を明らかにし,噴火史や火山活動史を解明していく予定である.
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