研究課題/領域番号 |
13480123
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
米田 仁紀 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 助教授 (00210790)
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研究分担者 |
モア リチャード 電気通信大学, 核融合科学研究所・企画情報センター, 教授 (50321617)
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キーワード | 超短パルスレーザー / 高密度プラズマ / 複素屈折率 / ポンププローブ / 輸送過程 / フォノン緩和 / 強結合プラズマ / 電子イオン衝突周波数 |
研究概要 |
本年度の目標は高時間分可能を有し高いS/N比を持った反射率測定システムを構築し、10^<14>W/cm^2以上の照射を行った金属面の反射率変化を観測すること。および、この実験結果を予測・説明するモデルおよび既知の物理を入れた計算機シミュレーションを確立することであった。 これまでのところ、プローブ光として745nmの120fsのパルスを、照射用のポンプ光として248nmで300fsの光を用意し、金属面上に照射して〜2%程度のdRから測定が可能なシステムを構築した。このシステムでは、ポンプ光の強度分布による反射率の変化を避けるために、一度プローブ光を単一モード光ファイバー中に通し、モードを単一化した後に顕微鏡下で照射させている。このため、プローブ光の集光径1〜2μmφという条件を達成し、ポンプ光の集光径10μmφから十分に均一でポンプ光の照射系も小さいためわずかなエネルギーで高い照射強度を達成できている。また、プローブ光にパルストレインを用い、照射直前のプローブ光の強度で規格化した反射率を求めることで、さらにこれらの計測には高繰り返しレーザーとボックスカー積分器を用いることで、高いS/Nを持った反射率測定を可能になるように工夫されている。 このシステムにより薄膜アルミニウム膜の測定を行った結果、照射強度の増加にともない、反射率の変化する時間が加熱照射パルス幅より数倍長い状態が測定された。この現象を説明するために、抵抗率の非線形性、反射率変化による実効的な加熱パワーの変化、表皮効果を入れた熱波モデルを構築した。これらの観測、計算により、反射率の時間変化には奥行き方向に加熱された熱波が伝わり、その程度が表皮効果程度になった時に始めて変化が飽和することがはじめて実験的に明らかになった。 一方、計算機シミユレーシヨンコードとしては厳密にMaxwell方程式を解き、金属の液化に対するフェーズ変化、も考慮した相互作用モデルを構築した。現在、コードのチェックを行っているが、このコードを用い、実験に則した状態での反射率を引きだせるように作られている。これらは、今後、実験データと比較され、内部に使われている輸送モデルの高精度化を行う。
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