研究概要 |
プラズマを利用した材料プロセスでは、H,C,N,Oなどの軽元素やF,Clなどのハロゲン元素の原子状ラジカルが、気相中や被加工固体表面における化学反応に大きな係わりをもっている。本研究では、200nm以下の真空紫外領域で波長可変なレーザを光源として用いるVUVレーザ吸収法を開発し、様々な原料ガスのプラズマ中での定量的な計測によって、それらの関与する気相・表面反応を明確にし、プロセス制御の指針を得ることを目指して研究を進めてきた。 従来、Fなどのハロゲン原子での測定を進めてきていたが、本研究ではその方法を発展させることによってC原子についての測定に成功し、フロロカーボンガスを原料とするSi酸化膜のエッチングにおけるCラジカルの役割を解析して、その結果を学術論文誌に発表した。また、O原子についても同様の測定を遂行し、レジストの灰化プロセスやSiの酸化プロセスにおけるO原子の反応過程を解析して、今夏、国際会議で発表するための論文投稿を行なった。 さらに、H原子やN原子へと測定を進めるために、VUVレーザの波長域を120〜130nm域に拡張する必要が生じたため、初年度に導入したYAGレーザを活用し、その3倍波と2倍波をそれぞれ紫外用、近赤外用の色素レーザの励起に用いることによって、2光子共鳴4波差周波混合(νvuv=2ν_1-ν_2)で当該波長領域での良好なレーザ発生を可能にした。それによって、H原子の定量測定に成功し、現在、H_2やCH_4などの炭化水素系ガスのプラズマ中での定量的な測定を行なっている。
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