本年度は、落下実験施設および放物線飛行を利用して微小重力(μG)環境下におけるプラズマ中微粒子の挙動に関する実験を行った。その結果、以下のことが明らかになった。 1G(地上重力)からμGに変化する過程で微粒子がプラズマ下部より鉛直方向に上昇しながらプラズマ上部に移動する様子が観察された。この現象について次のような考察を行った。重力下では、微粒子は鉛直方向に整列する。一般にはこれはプラズマ中のイオン流の影響を受けたためと考えられているが、鉛直に整列した微粒子自身がまたプラズマを変化させ、その結果、微粒子の付近では鉛直方向のイオン流が形成されていると推測される。そして、重力が減少して微粒子が上方に移動するとき、重力、イオン粘性力、静電気力の三つの力のバランスが崩れた結果、イオンの流れに逆らいながら鉛直方向に上昇したものと考えられる。 また、μG下では微粒子はプラズマ上部で放射状に整列している状態が観察された。さらに、μGから1Gに戻る過程で、微粒子がプラズマの中心部を通過せずに周辺部を通ってプラズマ下部に集まった。これについて、次のように考えられる。重力の影響がないために微粒子はイオン流に沿ってプラズマ中央を中心とした放射状に整列する。プラズマは変化を受けることなく自然な回転楕円体の形状をとるものと考えられる。この場合、力の均衡点は回転楕円体表面の分布を取る。その結果、μGから1Gに戻る過程では重力で下方向に引き戻されるが、イオン粘性力と重力の合力から周囲を通って元に位置に集まったのであると推測される。
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