プラズマ中では負帯電した微粒子の周りを正イオンが取り囲み微粒子配列の結晶化が生じ、これを結晶に関する様々な物理現象の解析に応用することが期待されるが、重力やプラズマ中のイオン流の影響により等方的な場の中で3次元構造を形成するのは困難である。本研究では、微小重力環境下において微粒子プラズマによる3次元クーロン結晶形成を試み、また微粒子の挙動を調べた。 落下実験の結果、重力下では下方で垂直に、微小重力下では放射状に微粒子が整列することがわかった。整列微粒子の中心軸の垂直軸に対する角度を算出したところ、重力下では10°以下、微小重力下では30°以上であることがわかった。微粒子の整列はプラズマ中のイオン流の影響を受けたためと考えられているが、プラズマ密度分布の測定、放物線飛行実験の結果とも合わせて、重力下ではこうして配列した微粒子自身がまたプラズマを変化させ、そのため微粒子の付近ではイオンの流れも鉛直方向に変化していると考察された。つまり、微粒子の存在がプラズマに影響を与えていることが明らかになり、微粒子とプラズマが相互に関係して自己組織化的な状態を形成することがわかった。このため、微粒子の初期導入方法が、その後の微粒子の構造形成に大きな影響を与えることが示唆された。最終的に等方的な場の中で結晶を形成することはできなかったものの、得られた結果は、従来、微小重力環境下では微粒子がプラズマの中心部に捕捉されない問題に対する解決の糸口となり、今後の研究の展開に大いに役立ち得るものと確信する。
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