研究概要 |
1)位相シフト板による超短パルス光の渦の発生:ガラス基板上にSiO_2をコートして位相シフト板を製作した。コートは回転角方向に16ステップであり、干渉計測で測定した空間位相分布は計算機ホログラムで予測されるものとほぼ一致し、設計通りの光の渦(ラゲールビーム、ポロイダルモード=1)の発生を確認した。また、これを1TWTiサファイアレーザービーム中に挿入し、光損傷なくレーザー光を集光できることも確認した。 2)Radial偏光ビームの発生:ネマティック液晶(光軸に沿って液晶分子が捻れるツイスト構造を有する)セルを利用た素子を開発した.ツイスト角度を空間的に分布させることによって任意の旋光角度(即ち偏光)分布を得ることができる.セルの入射側を均一配向,出射側を同心円状配向とすることによって,入射光の偏光方向を90°回転することによって,2種類の軸対称偏光分布(Radial及びAzimuthal偏光)を切り換えることができた. 3)レーザー伝搬とプラズマ生成,粒子コードの開発:超短パルス光の渦及び軸対象偏光ビームの薄膜プラスチックターゲットへの照射実験を開始した.レーザーは,Tiサファイアレーザー(波長800nm、照射強度約10^<17>W/cm^2,パルス幅120fs)である。その時の前方加速電子のスペクトル計測例を計測し,Azimuthal偏光の場合に高エネルギー成分の増加を観測した. 4)粒子コードの開発:任意の位相・偏光分布を有するレーザー光電磁場中での電子の運動を解析するために,新たに粒子コードを開発した.このコードにより,加速電子の方向分布,エネルギースペクトルだけでなく,直流磁場成分や高調波の計算が可能であり,本研究で用いる特殊な位相・偏光のレーザープラズマ相互作用の研究に極めて有用である.
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