研究課題/領域番号 |
13480136
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西村 博明 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 助教授 (60135754)
|
研究分担者 |
児玉 了祐 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 助教授 (80211902)
阪部 周二 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50153903)
田中 和夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70171741)
乗松 孝好 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 助教授 (50135753)
北川 米喜 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 助教授 (40093405)
|
キーワード | レーザー核融合 / 高速点火 / X線分光計測 / 高速電子 / 相対論プラズマ |
研究概要 |
レーザー核融合の研究において、ペタワットレーザー技術が確立し、爆縮した燃料プラズマを局所的に加熱する「高速点火」法が可能となった。この方法においては、核融合燃料が最大圧縮に至った瞬間、別途ペタワットレーザーを照射し、生成した高エネルギー粒子を介在して、高密度燃料プラズマを加熱する。本研究ではこの高速点火法におけるエネルギー付与の機構を明らかにするため、高エネルギーX線計測に関する新しい診断法を確立することを目的としている。 本年度においては以下の成果を得た:高速電子の横方向エネルギー広がりを明らかにするため、トレーサとして選択した塩素から放射されるHeβ線に合わせたX線単色カメラを製作した。平面ターゲットを用いたレーザー照射実験を行うことにより、計測器性能を確認した。つぎに、既存のX線分光器を併用し、トレーサ層をサンドイッチしたターゲットを用いたプラズマ実験を実施した。トレーサ層の2次元画像から横方向のエネルギー付与の広がりを、トレーサの深さから縦方向のエネルギー付与情報を求めた。実験には阪大レーザー研のペタワットレーザーならびにテラワットレーザーを使用した。得られた実験データを元にエネルギー輸送に関する解析を進めた。このため粒子コードに加え、高速電子輸送コードを用い、X線放射スペクトルの再現作業を行った。背景プラズマへの高速電子の衝突緩和、原子の電離や励起、そしてレート方程式など、いくつかの計算過程が新たに必要となった。粒子コードで求めた高速電子を入力として、フォッカー・プランク輸送計算を行い、エネルギー緩和をもとめた。その結果、実験で得られた加熱領域の広がりは理論モデルと大きく異なり、局所的な加熱状態になっていることが明らかとなり、トレーサの選択の妥当性を再検討すると共に、モデルの改良を進め、実験においてはサブピコ秒の時間分解能を有する分光計測が重要であることがわかった。
|