研究概要 |
TBPの硝酸錯体を超臨界二酸化炭素に溶解して用いる新しい方法を利用してランタニド酸化物やウラン酸化物と他の金属酸化物との混合物からランタニドやウランだけを選択的に回収することを目的として研究を行った. (1)二元系混合試料に関する溶解抽出実験および速度の整理 酸化ネオジムとCs,Sr,Mo,Ruの酸化物との混合試料からネオジムを硝酸塩のTBP錯体として回収できることを確認し,酸化ウランからのウラン溶解抽出に応用した.ウランの溶解抽出速度は,超臨界二酸化炭素と混合するTBP硝酸錯体のTBP,HNO3,H2Oの分子数超臨界流体の圧力および温度に複雑に依存するが,TBPに対するHNO3やH2Oの分子割合が高く,温度が高く,圧力が低い条件で大きな溶解抽出速度が得られることがわかった. (2)溶解速度向上方法の検討 ランタニドの溶解抽出速度に関しては亜硝酸濃度の影響はないことがわかった. (3)TBP硝酸錯体および金属抽出物の超臨界二酸化炭素への溶解度の測定 (1)TBP硝酸錯体,(2)TBP硝酸ネオジム錯体,(3)TBP硝酸第2セリウム錯体の超臨界二酸化炭素への溶解度を圧力を7〜20MPaで変化させ,さらに,温度を40,50,60℃の3点で変化させて測定した.この結果,3種類の化学種ともに化学種ごとに決まる値以上に圧力を上げるとあらゆる割合で超臨界二酸化炭素と混和すること,この限界値が(2),(3),(1)の順に高いことがわかった.また,Peng-Robinson型の状態方程式を用いることによって,2相に分かれて存在する領域と1相で混和する領域の境界条件を整理できることもわかった.
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