| 研究分担者 |
渡辺 尭 茨城大学, 理学部, 教授 (10023681)
野澤 恵 茨城大学, 理工学研究科, 助手 (10261736)
近藤 豊 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (20110752)
小池 真 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (00225343)
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| 研究概要 |
東南アジアのバイオマス燃焼による対流圏オゾン生成・増大の研究として,平成16年度には以下のような研究を行った。
これまで系統的な観測が行なわれてこなかったインドシナ半島域において、バイオマス燃焼が対流圏オゾンに与える影響について検討するため,平成15年度に引き続きタイのスリサムロン(17N100E)にてオゾンゾンデ観測を行い,その結果を解析した。具体的には,この地域でバイオマス燃焼が盛んな4月に,10回のオゾンゾンデ観測を行なった。その結果,平成15年度同様にこの期間タイ上空でのオゾン濃度は,対流圏の全域で50ppbv以上の増大を示すことが明らかになった。さらに,後方流跡線解析および同時に観測されたエアロソル高度分布との比較から,観測されたオゾン増大の起源について考察し、平成15年度の結果と比較した。その結果、この2年間では差が小さく、高度3km以下では予想通り,インドシナ域,特にタイおよびミャンマーでのバイオマス燃焼に伴うオゾン光化学生成がオゾン増大の原因であった。高度4〜6kmでは,インドシナ域でのバイオマス燃焼の影響のときもあるが,他にインド方面からの輸送,チベットの北からの中緯度空気の移流も重要な増大要因であることが示された。複数の起源を持つことは,オゾン濃度が同程度でも,インド方面から輸送されてきた気塊ではエアロソルが非球形(ダストなど)の傾向を持つこと,中緯度からの輸送の場合系統的に相対湿度が低いことからも裏づけされた。それより高い高度域では,むしろインド・アフリカ方面からの輸送が重要であることがわかった。以上のように、この地域では、春季にオゾン濃度が増大するが、付近でのバイオマス燃焼が主要なオゾン源となるのは高度2〜3km以下に限られ、それ以上では、インドなど他の地域の影響も重要であることが明らかになった。
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