研究課題
島嶼での観測点として八丈島の北端にある灯台内に大気DMS濃度自動連続測定システムを設置し、自動連続観測を実施した。観測システムは灯台の建物外部に設置した外気取入れ口からテフロンチューブにより室内に試料空気を吸引し、その一部をエアロゾル、水蒸気、オキシダントを除去して冷却捕集し、一定量の試料空気を捕集後に加熱し水素炎炎光光度計付ガスクロマトグフフィー(GC/FPD)で定量分析するものである。分析結果はクロマトグラフの解析装置により保存し、大気の捕集量や捕集温度、脱着温度はパーソナルコンピュータでモニターした。定期的にDMSの標準ガスを用いてシステムの校正を行った。また、6月からは毎月1、2回の割合で釣り舟をチャーターし沖合いの表面海水を採取し、観測点において窒素ガスによりパージ・トラップ法で海水中のDMS、及びその前駆物質であるDMSPの測定を実施した。DMSPは海水に1Nの水酸化ナトリウムを添付し数時間放置後DMSに変換されたものをパージ・トラップで測定した。機器のトラブルなどにより観測の中断があったため、データの欠測があるが、春から夏にかけて得られた結果から、気団の入れ賛わりに伴い大気DMS濃度が大きく変動する結果が得られている。すなわち海洋性気団に覆われたときに大気の成層が安定化し下層に蓄積されるとともに清浄海洋大気中の低濃度オゾンなどによりDMSの酸化が抑制され大気DMS濃度が増加する傾向にある。一方、大陸からの気団では大気の成層が不安定化し、海洋から放出されたDMSが希釈されるとともに汚染大気中のオキシダントの増加によりDMSの酸化が促進され、大気DMS濃度が低下する傾向にある。
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