研究課題/領域番号 |
13480158
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
上 真一 広島大学, 生物生産学部, 教授 (80116540)
|
研究分担者 |
石井 晴人 東京水産大学, 水産学部, 助手 (30251680)
長沼 毅 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (70263738)
武岡 英隆 愛媛大学, 沿岸環境科学センター, 教授 (90116947)
|
キーワード | クラゲ類 / 大量発生 / 生態的インパクト / 沿岸海洋環境 / クラゲ害 / クラゲ分解 / 瀬戸内海 / 東京湾 |
研究概要 |
1.大量発生メカニズムと生態的インパクト 瀬戸内海周辺の230漁業関係機関にアンケートを行い、瀬戸内海全域で漁業に対するクラゲ被害が発生していることを確認した。瀬戸内海の一部である宇和海において、1990年夏季に起きたミズクラゲの大量発生を、その時撮影した航空写真を基に解析した結果、主として内湾域に平均傘径15cmのミズクラゲが少なくとも約6億個体、湿重量で9.36万トンちパッチ状に出現していた。ミズクラゲはこの海域特有の急潮と呼ばれる流れによって、沖合から内湾域に物理的に運搬されたと推定された。パッチ内では中型動物プランクトンはほぼ食い尽くされており、大量発生の場合にはプランクトン食性魚に対するインパクトが大きいことが推定された。 東京湾でのミズクラゲのポリプ個体数を追跡した結果、個体数は他の付着生物との競争の結果、付着直後から急激に減少し春〜夏季に最少となった。しかし、秋〜冬季に付着した個体はその個体数を増加させ、付着直後の最大約6倍のエフィラを遊離した。これは、秋〜冬季はポリプと空間的に競合する他の付着生物の活性が低下したためであると考えられ、秋まで生存し産卵を行っているミズクラゲの個体数が翌年度のミズクラゲ発生数に大きな影響を及ぼしている可能性が示唆された。 2.微生物学的防除 ミズクラゲ濃密群集の発生と崩壊の機序を理解するための基礎知見の一環として、ミズクラゲ体の自己分解と微生物分解過程におけるタンパク質組成の変化を調査した。その結果、ミズクラゲ体の構成タンパク質の大部分は自己分解により消失し主に2つのサイズ(44、66kDa)だけが残った。一方、クラゲ分解微生物による分解を受けた場合、ほとんどの残渣タンパク質は検出限界以下であった。
|