研究課題/領域番号 |
13480158
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
上 真一 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (80116540)
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研究分担者 |
石井 晴人 東京水産大学, 生産学部, 助手 (30251680)
長沼 毅 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教授 (70263738)
武岡 英隆 愛媛大学, 沿岸環境科学センター, 教授 (90116947)
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キーワード | クラゲ類 / 大量発生 / 生態的インパクト / 沿岸海洋環境 / クラゲ害 / クラゲ分解 / 瀬戸内海 / 東京湾 |
研究概要 |
1.大量発生メカニズムと生態的インパクト 瀬戸内海の一部である宇和海において、2000年夏季に起きたミズクラゲの大量発生を、その時撮影した航空写真を基に解析した結果を、Plankton Biology and Ecology(50:17-21)に発表した。その後、2001年、2002年も同様なセスナ機によるモニタリングを継続したが、両年のミズクラゲ出現量は2000年(湿重量で約10万トン)よりも1オーダー低かった。3年間のモニタリングを通して、透明度が高く、ミズクラゲが海表面近くに集群する宇和海では、セスナ機による空撮が効率的なモニタリング手法であるが、一方透明度が悪く、しかも海底付近に集群する広島湾のミズクラゲをモニタリングするには、本方法は無効であることが明らかとなった。 主として漁業者からの聞き取りにより、瀬戸内海におけるミズクラゲの経年的な増加動向を調査した。瀬戸内海中央部ではミズクラゲは20年以上前からほとんど増加の兆しがないにもかかわらず、瀬戸内海東部、西部海域では最近10年前から急激に増加したことが明らかとなった。その原因として冬季の水温の上昇による越冬クラゲの増大、餌を巡って競合するプランクトン食性魚類の漁獲量の低下により、生態的なニッチがミズクラゲに有利に働いたためと推定された。また、ミズクラゲによる深刻な漁業被害の実態も明らかとなった。 東京湾において、ミズクラゲ個体群による動物プランクトンの捕食圧を推定した。餌の主体は小型カイアシ類であるOithona davisaeであり、日間捕食速度は22mg C/day/indivであった。平均的なミズクラゲの密度であれば、この値はOithona davisae個体群の生産速度をはるかに下回り、東京湾では動物プランクトンがミズクラゲの成長を制限することはないと推定された。 2.微生物学的防除 ミズクラゲ体を効率的に分解させる微生物の探索を行い、分解過程の違いを調査した。
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