研究概要 |
東アジア域から北西太平洋への大気汚染物質の移流・拡散や原子力事故に伴う放射性物質の広域拡散の研究は環境問題の重要かつ緊急な課題である。大気中に存在する天然放射性物質のラドンは半減期が3.8日で,化学的に不活性である。ラドンの発生源は陸地表面にあるので,同じく地表面に発生源を持つ大気汚染物質の良いトレーサとなりうる。中国大陸内,朝鮮半島,日本海,日本上空および北西太平洋上でラドン濃度を同時に連続測定し,気象解析と時間変動解析を行えば,大陸から気流に沿って北西太平洋へ大気汚染物質がどのように移流・拡散して行くかの基礎的な情報を与える。 平成14年度は以下の研究を実施し、研究成果を得た。 (1)平成14年度以前から続けている名古屋,金沢,島根県・松江および隠岐,韓国・ソウルおよび東海でのラドン濃度連続測定を引き続き行った。 (2)平成13年度の新しくラドン濃度測定装置を設置した中国・北京,波照間島,八丈島,利尻島および小笠原諸島父島でも連続測定を行った。 (3)ラドン濃度や気象データ等を研究者間でお互いに交換し,解析を行った。 (4)東アジア域から北西太平洋域での大気中ラドン濃度変動の数値計算シミュレーションの結果と(1)と(2)の観測地点で得られるラドン濃度データとの比較を行った。濃度の変動パターンも濃度レベルも比較的良い一致が得られた。 (5)研究成果を国際会議や国内会議で発表し,良い評価を得た。 (6)2003年1月に名古屋で共同研究者が集まって研究経過検討会を開催した。
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