研究課題/領域番号 |
13480168
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鈴木 文男 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (10019672)
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研究分担者 |
矢島 浩彦 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (30261895)
達家 雅明 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (50216991)
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キーワード | 放射線 / 紫外線 / アポトーシス / cytochrome c / caspase / HeLa / Jurkat / MCF-7 |
研究概要 |
放射線に対するアポトーシス感受性は細胞の種類によって大きく異なることが知られている。実際に、血液系の細胞は照射後速やかにアポトーシスにより死滅するのに対して、線維芽系及び上皮系の細胞は感受性が低く、照射後ある程度培養しないと死細胞は観察されない。本研究では、この遅延型のアポトーシス誘発機構を明らかにするために、放射線照射後のアポトーシス誘発動態を調べるとともに、分裂期チェックポイント制御との関連性について解析する。本年は初年度にあたるので、感受性の異なる2種類の細胞を用いて紫外線(UV)照射後のアポトーシス形質発現とミトコンドリアを介したシグナル因子の活性化について調べた。実験には、アポトーシス反応の早い細胞として血液細胞系のマウス胸腺リンパ腫由来3SB細胞とヒト白血病由来Jurkat細胞、アポトーシス反応の遅い細胞として上皮系のヒト子宮頚部癌由来HeLa細胞とヒト乳癌由来MCF-7細胞を用いた。 3SB細胞とJurkat細胞にUVを照射すると、照射後3時間以内でアポトーシスに特徴的な核変化とDNA鎖切断が観察され、これらの細胞では照射後2時間でcytochrome cやAIFが細胞質へ流出すると同時に、caspase-9やcaspase-7及びcaspase-3が活性化した。一方、HeLa細胞やMCF-7細胞では照射後12時間培養しても不完全な核変化しか生じず、caspase-3の活性化フラグメントも24時間以上培養しないと検出できなかった。しかし、両遅延型アポトーシス細胞では、ミトコンドリア因子の流出とcaspase-7及びcaspase-9の活性化フラグメントは比較的短い培養時間(4〜6時間)で検出できたことから、これらの細胞ではcytochrome c流出以降のアポトーシスシグナル伝達が血液系の細胞に比べて抑制されていることがわかった。
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