研究概要 |
1.水溶性キレートポリマーの調製と金属イオン結合特性 平成13年度に調製したポリ-α-アセチルアミノアクリル酸(P4Aと略す)と異なり、光学異性体の特性を持つポリ-N-メタクリロイル-L-アラニン(PMLAと略す)を調製した。重量平均分子量(GPC測定:220万)のポリマーを得た。P4Aの場合と同様にPMLAについても重金属イオン(Co, Ni, Cu, Zn, Pb)との結合平衡関係を求めた。先に提案した錯形成モデルによってそれぞれの金属イオンに対して逐次錯安定度定数および平衡定数を求めた。これらの定数を用いて、提案モデルによって、任意のpHにおける結合平衡関係もよく表すことができた。PMLAと多孔質膜との組み合わせによって、金属イオンの回収・濃縮および相互分離できることが分かった。 2.キレート剤含有マイクロカプセルの調製と金属イオン結合特性 13年度に続いて抽出剤の2-ethylhexyl2-ethylhexylを内包するマイクロカプセルを調製し、径200〜300ミクロンのカプセルを得た(SEM観察)。また、FT-IR測定によってマイクロカプセルが抽出剤を内包していることを確認した。マイクロカプセルと希土類金属イオン(La, Ce, Pr, Sm,)との結合平衡をセミバッチ法によって求めた。マイクロカプセルはpH2-3の酸性域においてもこれらの希土類金属イオンを選択的に吸着し、水溶液中に溶存する金属イオンの回収・分離に有用であると考えられる。 3.リン酸カルシウムなどによる重金属イオンの回収・固定化 リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム等によるCo, Cu, Cd, Pbなどの重金属イオンの固定化による回収を行い、溶解度やpHの影響を検討し、イオン交換による固定化が溶解-沈殿機構によって説明できることを示した。
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