研究課題/領域番号 |
13480181
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
椿 宜高 国立環境研究所, 生物多様性研究プロジェクト, サブリーダー (30108641)
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研究分担者 |
五箇 公一 国立環境研究所, 化学物質環境リスク研究センター, 総合研究官 (90300847)
永田 尚志 国立環境研究所, 生物多様性研究プロジェクト, 主任研究員 (00202226)
高村 健二 国立環境研究所, 生物多様性研究プロジェクト, 総合研究官 (40163315)
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キーワード | 病原生物 / 野生生物 / 抵抗性 / カワトンボ / コジュリン / セイヨウマルハナバチ |
研究概要 |
カワトンボは集団内に二型のオス(なわばり型のオレンジ翅オスと非なわばり型の透明翅オス)が存在する。自然集団において、胞子虫による寄生程度が異なり、オレンジ翅オスの方が透明翅オスよりも寄生虫荷重が大きいことが分った。胞子虫のほとんどはカワトンボが羽化してから成熟に達するまでの前生殖期に食物(ユスリカ等の小昆虫)を介して摂取されることがわかった。今年度は寄生虫荷重が成虫の寿命に与える影響を実験的に明らかにした。これまでのほとんどの報告では胞子虫の昆虫寄主への影響は検出されていないが、食糧条件が悪い場合には負の影響を与えることがわかった。また、生殖のピークを過ぎた日齢の成虫では,食糧条件がよくても寄生虫負荷の大きなオレンジ翅オスの方が短命であること、同じ型の中でも寄生虫負荷の大きな個体ほど短命となることがわかった。ところが、成熟に達したばかりの若い雄では、食糧条件が悪くても寄生虫負荷の大きなオレンジ翅オスの方が、寿命が長いことがわかった。多数の餌を獲得する利益が、寄生虫を取り込むコストを上回るのであろうと考えられた。昨年度開発した手法を用いて、野鳥と飼鳥について、血液中病原生物の検出を行った。その結果,東南アジアから輸入される飼鳥や渡来鳥に多くの鳥マラリア原虫が検出された。侵入生物であるセイヨウマルハナバチはオランダからの輸入時に内部寄生ダニがついている事が多い。これらのダニは日本国内ダニとは遺伝的に異なる集団であること、日本産の野生ハナバチ類にヨーロッパ系統のダニの寄生が広まりつつあることがわかってきた。
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