化学-酵素法による機能性修飾DNAの合成法の開発とその新規触媒DNA創製への応用

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13480183
• 研究機関: 群馬大学
• 研究代表者: 澤井 宏明 群馬大学, 工学部, 教授 (70012648)
• 研究分担者: 尾崎 広明 群馬大学, 工学部, 助教授 (90211820)
• キーワード: 核酸 / DNA / 酵素合成 / 生体機能利用 / DNAポリメラーゼ / 5位置換チミヂン / 機能性DNA / 化学合成

研究概要

昨年度の研究で、合成法を確立した5位置換チミヂン誘導体の5位のメチルエステル部とジアミン類との反応で末端にアミノ基を有するデオキシチミヂン誘導体を得た。さらに、これらのデオキシチミヂン誘導体より5'-三リン酸体とした。さらに、末端アミノ基を介して、こはく酸、イミダゾール、ピリジン、フェナントロリン、フルオレセイン、種々のアミノ酸などの機能性分子を導入した修飾チミヂン三りん酸を合成した。これらの種々の機能性基導入チミヂン誘導体を天然型のdTTPの代わりに基質に用い、KOD Dash DNAポリメラーゼを用いたPCR反応を行った。その結果、取り込み効率は天然基質であるdTTPと比べ、低下するものの種々の機能性物質を導入した修飾DNAの酵素合成が可能であることを明らかにした。しかし、5位にアニオン性のカルボキシル基を導入した修飾基質は取り込み効率が極端に落ちるか、全く取り込み能がないことを認めた。さらに、他の種々の耐熱性DNAポリメラーゼを用いてPCR反応による修飾DNAの酵素合成を検討した結果、DNAポリメラーゼにより、基質取り込み能は大きく異なることが判明した。PCR反応で広く用いられているTaq DNAポリメラーゼなどは修飾DNAの合成には不適当であった。さらに、フルオレセインを導入したチミヂン誘導体及びKOD Dash DNAポリメラーゼを用いたPCR反応で特定の蛍光標識化DNAの合成に有用であることを明らかにした。さらに、PCR法による修飾DNAの合成と試験管内選択法を適用して、甘味剤アスパルテームに対して特異的に結合する修飾DNAアプタマーの創製を行った。

研究成果

• [文献書誌] H.Sawai, A.Ozaki-Nakamura, M.Mine, H.Ozak: "Synthesis of new modified DNAs by hyperthermophilic DNA polymerase : Substrate and template specificity of functionalized thymidine analogues"Bioconjugate Chem.. 13. 309-316 (2002)
• [文献書誌] Y.Seto, K.Abe, M.Itoh, H.Sawai: "Preparation of cnjugate of 2',5'-triadenylate 5'-triphospahte and biotinylated firely luciferase and its use for sensitive bioluminescent enzyme immunoassay"Bioconjugate Chem.. 13. 303-308 (2002)
• [文献書誌] M.Shimazu, K.Shinozuka, H.Sawai: "Regio-and stereocontrolled synthesis of 2'-5' linked phosphorothioate oligoadenylates by uranyl ion catalyst in aqueous solution"J. Chem. Soc, Perkin Trans I. 1778-1785 (2002)
• [文献書誌] Shinozuka, N.Matsumoto, H.Suzuki, T.Moriguti, H.Sawai: "Alternate stranded triplex formation of chimeric DNA composed of tandem α-and β-anomeric strands"Chem. Commun.. 2712-2713 (2002)
• [文献書誌] H.Saitoh, A.Nakamura, M.Kuwahara, H.Ozaki, H.Sawai: "Modified DNA aptamers against sweet agent aspartame"Nucleic Acids, Res. Suppl.. 2. 215-216 (2002)