研究概要 |
マルバアサガオchs-aとchs-bのコードするタンパクCHS-A,-Bに対し合成基質を用いて酵素反応生成物を検討した。CHS-Aはp-クマル酸CoAに比べ側鎖の炭素数の1つ短いフェニルアセチルCoAを基質とした時マロニルCoA3分子を縮合、芳香環形成を経てフエニルアセトフェノンを生成したことをLC/MS他物理分光法で確認した。多くのCHS同様Claisen縮合と芳香環形成を伴に行う触媒機能の有ることを確認した。安息香酸CoAではマロニルCoA3分子を縮合し、テトラケタイド鎖形成で反応が終了し、芳香環形成に至らなかった。更に脂肪酸合成酵素並にアセチルCoAを受容することも示された。一方脂肪族CoAエステルとしてイソバレリルCoAの時フロログルシン骨格が形成された。CHS-Bの場合、何れでもトリケタイド鎖形成に止まった。 人工基質を用いたカルコン合成酵素の触媒機能と新規化合物の生成を検討した。p-クマル酸CoAに構造類似の各種CoAエステルを系統的に合成し、基質として、酵素反応生成物の構造を検討した。Cl, Br, MeOなどの嵩高い置換基を4'位に有す桂皮酸CoA誘導体をプライマー基質とするとテトラケタイド鎖の形成は見られるものの閉環・芳香環形成に至らない。しかし4-fluorocinnamyl-CoA, trans-3-(3-furanyl)acryloyl-CoA, trans-3-(3-thienyl)acryloyl-CoA, Benzoyl-CoA, phenylacetyl-CoA, hexanoyl-CoA, isovaleryl-CoA, isobutyryl-CoAのようにp-クマル酸CoAと同等ないし嵩高くない基質では何れもカルコン骨格に照応した化合物が最大約20%の収率で得られた。比較上ピーナッツ由来のスチルベン合成酵素(STS)系を構築し検討した。フェニル、フラニル、チエニルの部分構造を持つ基質では対応するスチルベン誘導体に相当する化合物を得た、しかし脂肪族CoAエステルをプライマーとしたときはポリケタイド鎖の伸展は見られるものの、芳香環化反応は進行しなかった。 CHSは表中にあるように安息香酸CoAをベンゾフェノンへ変換した。本知見はベンゾフェノン、キサントン生合成に関わる酵素もchs-sfに属す遺伝子がコードしている可能性を初めて示したものである。
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