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2002 年度 実績報告書

セレン活性分子種変換のダイナミズム:含セレンタンパク質合成機構の構造生物学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 13480192
研究機関京都大学

研究代表者

江崎 信芳  京都大学, 化学研究所, 教授 (50135597)

研究分担者 田村 隆  岡山大学, 農学部, 助教授 (40253009)
三原 久明  京都大学, 化学研究所, 助手 (30324693)
栗原 達夫  京都大学, 化学研究所, 助手 (70243087)
キーワードセレノシステイン / セレノシステインリアーゼ / 部位特異的変異
研究概要

セレノシステインリアーゼ(SCL)は、セレノシステインに特異的に作用しテラニンとセレンを生成ずる皮応を触媒する酵素である。本酵素は、セレノリン酸シンテターゼの基質セレニドを供与する活性を持つことから、セレノシステイン残基を有するセレンタンパク質生合成の初発段階に関与する可能性が考えられている。一方、大腸菌には、SCLと類似した酵素であるシステインデスルフラーゼ(CSD)が存在する。CSDはSCLと異なりシステインとセレノシステインの両方を基質とするが、これまでの解析により、基質システインの分解に必要とされる保存されたシステイン残基は、セレノシステインの分解には必須では無いことが示されている。これと同様な反応機構でSCLの反応が進行するならば、SCLにはシステイン残基による触媒作用は不用と推測される。マウスSCLにはシステイン残基が8つ存在する。これら8つのシステイン残基の内、Cys304、Cys346、Cys364、Cys375の4つはヒトSCLにも保存されている。部位特異的変異法によりC101S、C129S、C177S、C304S、C346S、C364S、C375S、C390Sの8種の変異型SCLを作製した。各変異型酵素遺伝子の発現をSDS-PAGEによって確認し、粗酵素液のSCL活性を測定した。その結果、C375Sはほぼ完全にセレノシステイン分解活性を失っていた。また、C364S、C177S、C101SのSCL活性も著しく減少していた。特に活性に与える影響の大きかったCys375については、C375A変異型酵素も作製した。C375SをSuper-QとButyl-TOYOPEARLを用いて精製し、また、C375AをQ-SepharoseとButyl-TOYOPEARLにより精製し、精製酵素のSCL活性を測定した。C375S、C375Aは共に、wild-typeと比較してSCL活性が約1/2000に減少した。以上より、Cys375は、SCL活性に必要であることが明らかとなった。よって、SCLの触媒反応機構は、大腸菌のCSDが触媒するセレノシステイン分解反応とは異なっているものと考えられた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] E.A.Pion-Smits et al.: "Characterization of a NifS-like chloroplast protein from Arabidopsis. Implications for its role in sulfur and selenium metabolism"Plant Physiol.. 130・3. 1309-1318 (2003)

  • [文献書誌] M.Pion et al.: "Enhanced selenium tolerance and accumulation in transgenic Arabidopsis expressing a mouse selenocysteine lyase"Plant Physiol.. 131・3. 1250-1257 (2003)

  • [文献書誌] H.Mihara et al.: "Structure of external aldimine of Escherichia coli CsdB, an IscS/ NifS homolog : implications for its specificity toward selenocysteine"J.Biochem.. 130・3. 679-685 (2002)

  • [文献書誌] H.Mihara et al.: "No abstract Selenocysteine lyase from mouse liver"Methods Enzymol.. 347. 198-203 (2002)

  • [文献書誌] H.Mihara et al.: "Bacterial cysteine desulfurases : their function and mechanisms"Appl.Microbiol.Biotechnol.. 60・1-2. 12-23 (2002)

  • [文献書誌] H.Mihara et al.: "The iscS gene is essential for the biosynthesis of 2-selenouridine in tRNA and the selenocysteine-containing formate dehydrogenase H"Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.. 99・10. 6679-6683 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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