研究概要 |
今回、凝固因子のリン脂質結合部位であるGlaドメインとX-bpの複合体の結晶化とその結晶構造解析を行ない、血液凝固因子のGlaドメインとリン脂質の結合様式を分子レベルで解明することを試みた。 IX/X-bp(凝固IX因子/X因子結合タンパク質)、X-bp(X因子結合タンパク質)をハブ毒及びヒャッポダ毒1gからそれぞれ30mgと20mg単離した。これを数回繰り返し、それぞれ約50mg単離した。ウシ血漿25lから凝固X因子を20mg単離した。これを10回繰り返し、X因子を200mg単離した。X因子のα-キモトリプシンによる限定分解によりX因子のGlaドメインを断片化後、Glaドメインペプチド(残基1-44)を10mg単離した。X因子GlaドメインペプチドとX-bp又はIX/X-bpを等モル混合し、1mM Ca存在下でのゲルろ過により複合体を単離した。 現在、小規模スケールであるがX-bpとGlaドメイン複合体の結晶化を試み、すでに成功しているが、今後、スケールを上げGlaドメイン複合体の結晶化とそのX線構造解析を行う予定である。 これと平行してCa^<2+>イオンのほかにMg^<2+>イオンが機能発現には必要だと我々が報告している凝固IX因子を約50mg単離した。IX因子のAsp-Nプロテアーゼによる限定分解により、Glaドメインペプチド(残基1-46)を5mg単離した。IX因子GlaドメインペプチドとIX-bpを等モル混合し、ゲルろ過により、複合体を単離し、結晶化と構造解析を行った(すでに小規模であるが予備実験は終了した。結晶化の条件は5mM Ca^<2+>,2mM Mg^<2+>,7%PEG6000,pH8.0と決定している)。 構造解析:水野洋博士との共同研究で決定した構造既知のIX/X-bp (Nature Str.Biol.で発表)を利用した分子置換法により立体構造を決定した。
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