研究概要 |
血中に高濃度で存在する生理活性脂質であるリゾホスファチジン酸(LPA)やスフィンゴシン1-リン酸(S1P)はEdgファミリーという7回膜貫通型GPCRがその受容体として同定され、生体内での役割や各種疾患との関連が注目を集めている。これまでの研究で、ヒト血小板からのスフィンゴシン1-リン酸(S1P)とリゾホスファチジン酸(LPA)の合成放出メカニズムを解明、特にLPAの合成の大部分は血中に放出される新規のホスホリパーゼによって作られることを明らかにした(JBC、2002)のに続き、本年度の主な研究成果として(1)酵母細胞内S1PホスファターゼのER膜内におけるトポロジーを明らかにしこの酵素がトランスポーターとしての性質を持つことを初めて示した(Genes Cells,2003)。(2)動物細胞におけるS1Pリアーゼのノックアウト細胞をマウスF9細胞を用いて初めて確立し、細胞内のS1PがF9の分化に果たす役割を明らかにした(JBC、2003)。(3)Edg-6の細胞運動における役割とcdc42を介したそのシグナル伝達機構を明らかにした(Gene Cells,2003)(4)マスト細胞で抗原刺激での顆粒球放出にセラミドキナーゼが関与していることを明らかにした(JBC, in press)。その他にも、まだ未発表ではあるが、日米共同研究でEDG-6とS1Pの結合機構を分子モデルを使って示した(JBC、投稿中)などの成果をあげている。
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